12番:狂言
野村萬斎”電光掲示W”「もも・なすび大合戦」狂言会
2000年12月14日 /  アートスフィア / 野村萬斎ほか

■感想

現在アートスフィアにて行われている「もも・なすび大合戦狂言会」を 観に行ってきました。
野村萬斎さんの演出とのことで興味を持って行ったのですが、いやぁ、萬斎氏の プロデュース力に脱帽!!の舞台でした。面白かったです(^^)。

普通は能の舞台で演じられる狂言を、アートスフィアという舞台で、そこにある装置や 音響なども存分に生かして演じてみよう、という試み。
で、副題が「電光掲示W」なんですけど、幕が上がったらいきなり黒幕に電光の文字がチカチカ。 そう、このケージ君こと電光掲示板がまるで人間の如く舞台を進めたり、時には、わかりにくい 狂言の言葉を翻訳してくれたりします。
しょっぱな、「狂言は、ライブ・パフォーマンス」の言葉の元、いきなり、「皆さん、イェ〜」 「イェ〜(観客の掛け声」と、掲示板に乗せられての参加に。 下手な前説よりもよっぽど上手、ただの電光掲示板なのに・・

・・で、この後、野菜の漢字の読み方クイズ(「西瓜の読み方は?ハイ、○列○番の人」と ケージ君が客席を指名)、萬斎さんによるちょっとした狂言(柿山伏と瓜盗人)、萬斎さんの トークによる、狂言の楽しみ方や今回の作品についての話・・で一幕終了。
萬斎さんトークの場面では、実際の狂言のある場面を、客席といっしょにやってみる・・なんてのも あって、すっかり乗せられっぱなし。 (ふくろうに取り付かれた兄弟と、それを祈祷で直そうとするエセ山伏の話で、客席は「ほーほー」 という、ふくろうの鳴き声をさせられました・・みんなけっこうやってた・・)

二幕がいよいよ「もも・なすび大合戦」の舞台なのですが、これは「木実争」という古い作品を 今風にアレンジしたものだそうです。高貴な身分である桃のお姫様と、お付の梅干の尼に、下級武士 である茄子(これが萬斎さん)が言いよるのですが、うまくいかず、身分の低さをあざけられたことに 腹を立て、仲間のきゅうりや西瓜、かぼちゃたちを連れて仕返しに出向き、いっぽうの桃のお姫様の方も 柿や橘などの助っ人が出てきて大合戦になるのだが・・という話。

よくみると、武家方(茄子やきゅうり)は地面の近くのもの、お姫様方(桃や梅)は高いところになる ものばかりで、野菜や果物の戦いになぞらえて、当時の貴族と武士の争いをあらわしているのだとか。
一見難しい言葉かと思った地謡も現代風の駄洒落の連続、茄子の武士が桃のお姫様にいいよる場面では ちょっとH系のギャグもあったりして客席は笑いの連続でした。

野菜や果物の精たちは、茄子なら茄子の実を頭の上につけて出てくるのですが、これは昔から そういう扮装だったそうです。
萬斎氏いわく
「これは今人気のライオンキングの手法と同じ・・・いやいや、こちらの方が古いのだから ライオンキングがこれを真似しているのだ」
とのこと(^^;)。

ラストもちゃーんとカーテンコールがあって、役者さんが、それぞれの役の野菜や果物にちなんだもの 「柿の種・・とか、かぼちゃクッキー・・とか」を客席に投げてプレゼント。
萬斎さんからは「本物のなすび」だったのですが、すっごく遠くに投げてくれて、たぶん1階最後方か 2階の人がキャッチしたんじゃないかな・・。

「狂言」という一見とっつきにくい伝統芸能を、こういう形で表現していく姿勢にめちゃくちゃ共感!!
どんなに素晴らしい伝統芸能でも、それが伝わらなくちゃ意味がないですもの。たぶん、これを 邪道という人もいるんでしょうけど、これで少しでも興味を持って能楽堂に足を運んでくれる人が いればいいじゃない・・と思います。
それに、不思議なもので、萬斎さんの一人狂言(柿山伏)の場面になると、不思議と電光掲示板の 演出が余計なものにも見えてきたんですよね。 ・・ああ、これをシンプルな能舞台で想像力を働かせて見たら面白いだろうなって。

とにかく、狂言なんてぜーんぜん興味なくっても楽しめそうなエキサイティングな舞台でした。 クリスマス前、これまた舞台に興味ない彼氏といって「イェーイ」とかやるのもおすすめかもしれない。 場所も天王洲アイルだし・・。

■ぷらすあるふぁ

狂言師にはいくつかの家があって、野村萬斎さんの家は「江戸前狂言」という流派(?)の家だそうです。


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