20番:ストレートプレイ
今日、悲別で
2001年1月25日 /  アートスフィア  / 富良野塾(作・演出:倉本聡)

■感想

アートスフィアにて現在上演中の富良野塾「今日、悲別(かなしべつ)で」を観劇してきました。
正直言って、昨日、急遽SHOES ON!も観ることになったし、今日は雪になるかもと天気予報でも 言われていたので、「連ちゃんはキツイなぁ」と腰が重かったのです。 ・・でも、感想は「観にいってよかった!」

そもそも、これを観ようと思ったきっかけは、シアターガイドという演劇情報誌で、富良野塾の 主催者である倉本聡さんのエッセイを読んだことでした。 倉本聡さんといえばテレビドラマ「北の国から」、その倉本さんが創る舞台ってどんなものだろう?? と興味があったのです。

お話は、かつては炭鉱で栄えた「悲別(かなしべつ)」という街が舞台。
最後の炭鉱が閉山となってから10年目の2000年の大晦日、父親の世代の炭鉱夫が埋めたという タイムカプセルを探しに、ジンとブイ、そしてインテリの新聞記者が昔の炭鉱に潜っていきます。 その中には「希望」が入っているんだと言い残されたタイムカプセル・・・。 ところが、その炭鉱が突然落盤、3人が命の危険にさらされた、まさにそのときにタイムカプセルを 発見。中から出てきたのは・・・・??

地上にこの事故が伝わり、3人を助けなければというものの、さびれた街に久しぶりに帰省してきた 同級生たちは「自分達にも家族がある・・」と、危険を冒して助けに行くことをためらいます。 そんなとき、あえて危険をかって出たのは、都会のすさんだ生活の中で、誤って親友を刺し殺した罪で 追われていた加山くんでした。 そして、ジンとブイと記者は助かり、助けた加山は、待ち受ける警察の前に進んでいきます・・。

このお芝居で問われているのは、文明の利器に頼り切って、豊かな生活の上にあぐらをかいている 現代人に対する「このままでいいの?何か大切なものを失っていない?」という投げかけです。
「演劇は始めに肉体ありき」という倉本氏のポリシー通り、途中の様々な幻想や回想のシーンが、 鍛えぬかれた肉体をめいっぱい使って表現されていく中、 ほぼ真っ暗な舞台の中、俳優がつけた明かりや、時にスクリーンに映し出される影絵だけを使っての シンプルなお芝居が進んでいく中で、 観客はそんな問いについて、心のどこか深いところで考えさせられてしまいます。

「中年男性を劇場に!」という倉本さんの目論見が少し成功したのか、スーツ姿の男性がいつもの 客席より目に付きました。
たぶん、チケットはまだ余裕がありそうですので、もしお時間と興味があるようでしたら、おすすめです。また、この作品は、アートスフィアの後は、山形県と、北海道の各地をまわるようですので、北海道の 方はぜひ。

さて、タイムカプセルの中の「希望」はいったい何だったのでしょう?? (これからご覧になる方は、この先は読まないで観にいってね(^^)
中に入っていたのは、昔の人が使っていた「つるはし」や「シャベル」。 インテリの新聞記者が泣きわめくのを尻目に、ジンとブイは、この道具を使って 必死で助かる道を探します。 「希望」とは、人間本来に備わっている「生きる力」のこと、そして「最後まで 生をあきらめない力」のことだったのでした。

■ぷらすあるふぁ

この「富良野塾」は、夏は農作業で稼ぎ、それで俳優や脚本家を育てる私塾なんだそうです。北海道の原野を切り開いて、この塾を始めたときは、厳しい自然との戦いでホントウに大変だったようです。

プログラムに、倉本氏や塾生の名言集が紹介されており、それがとてもよかったので、いくつかご紹介します。

・芝居の稽古とは「発見」すること。それから初めて「創る」が始まる

・5合目からは歩き出せないの。山に登りたいなら裾野から歩くの。

・ライターは精神のストリッパーでございます。

・役者は行間のシナリオを書くんです。いわば隙間のシナリオライターです。


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