28番:歌舞伎
コクーン歌舞伎「三人吉三」
2001年6月5日 / シアターコクーン / 中村勘九郎、中村橋之助、中村福助

■感想

念願の コクーン歌舞伎「三人吉三」の初日を観てました・・。

「コクーン歌舞伎」とは、渋谷の「シアターコクーン」という、どっちかというと 現代劇をやる芝居小屋で歌舞伎をやっちゃおうという、中村勘九郎さんたちがここ 数年間続けている新たな試み。
その存在を知ったのが実は、昨年イシちゃんを観にいった演劇人祭だったりするんですが・・。 (このときの勘九郎さんの爆発トークがめちゃ面白かった〜) そのとき、「コクーン歌舞伎」について初めて知り、次回は絶対観にいこうと思っていたのです。

開演前のロビーには、舞台衣装の着物を来て、なぜか犬を連れた役者さんたちが何人か。 (・・しかし、お芝居観た後でこれを思い出すに、なんだか素直に「お遊び」と思えない・・。「犬」はこのお話のキーワードではあるけれど、決して良いキーワードではないから・・)
人形焼きなども売っていて、空腹に耐えかねた私は思わず1つ買ってから席へ。

本日のチケットは最もリーズナブルなB席。通常の舞台だと、いわゆる「コクーンシート」と呼ばれる部分で、とにかく身を乗り出さないと舞台が見えない。かなり苦しい姿勢なので、「うわ、こりゃ面白くなかったら絶対あきらめて、素直に椅子にもたれて寝るなぁ」と懸念しておりましたが・・。
いざ舞台が始まると、ぐいぐいと話の中身に引き込まれ、苦しい態勢も何のその・・必死で乗り出して観ているうちに終わってしまった。こういう席って、まさに芝居の面白さが試されるなあと思いました。

「三人吉三」って、私も名前だけは聞いたことがあって、どちらかというと能天気な世話物をイメージしていたんですが(他にそんな人いませんか?)、実際は全然違うお話。
坊主のなりで寺で賽銭箱から盗む「和尚吉三(勘九郎)」若衆姿の盗人「お坊吉三(橋之助)」女性のなりで盗みを働く「お嬢吉三(福助)」という、3人の有名な泥棒が、「庚申丸」という名刀を巡って結び合わされ、義兄弟の契りを結びます。人々の欲望渦巻く中、名刀「庚申丸」は様々な人の手に渡り、そして最後には・・?? ・・実は3人とも、この「庚申丸」にゆかりの人間なのですが、それが物語が進むにつれて次第に明らかにされていきます。そして、悪人なりの仁義を尽くした3人に待ち構えている運命は・・????

とにかく、パズルを解いていくようなストーリー展開で、途中、身の毛もよだつような恐ろしい場面があるかと思いきや、悲劇的で壮絶なラストシーンでは心が浄化されるかのように胸を打たれ、息つく暇もないといった感じでした。
率直な話、これまでの数少ない歌舞伎観劇体験の中では、ストーリーとしては一番面白かった。河竹黙阿弥って、エラかったのねぇなどと、改めて感心してしまったりして。

この、今の世の中にも通じるドロドロとした不条理の世界が、シアターコクーンという、やや無機質な空間となんとも言えずマッチしているような・・ でも一方で、客席は昔の歌舞伎小屋のよう。前方は座布団が敷かれ、座布団席と椅子席の間に通路があって、そこを花道のように役者が行き来するという作りになっており、時には座布団席の人の間も役者が通るので、思わず食べかけのお弁当をどけたりする一幕もみられました。

現代にも通じる、昔ながらのお芝居を、現代的な芝居小屋の、昔ながらの雰囲気の客席で観たということです。 えもいえぬミスマッチな3時間でした。

■ぷらすあるふぁ

後日、追加したい


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