29番:ストレートプレイ
蜘蛛巣城
2001年6月11日 / 新橋演舞場 / 中村吉衛門、麻実れい

■感想

「蜘蛛巣城」を観てきました。
シェークスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えたお芝居で、 鷲津武時役(つまりマクベス)に中村吉衛門さん、その妻、浅茅(つまりマクベス夫人)に 麻実れいさんという、豪華キャスト。

ターコさん(麻実れいさん)がマクベス夫人役にあたる役ときいて、ダンナを尻に敷く タイプの女丈夫をイメージしていたのですが(すみません・・宝塚時代のイメージが 私には強いので)、全然違っていてびっくり。
とにかく美しく、しかも、戦国の時代に 自らの意思で夫武時と夫婦になったことを誇りに思い、夫をとても愛している。 主君殺しも、夫への強すぎる愛ゆえに、夫に出世して欲しいという期待と、主君に命を 奪われるのではないかという不安の為せる技。 ・・でも最後は、心の重みに耐えられず、気が狂っていく哀れな女性でもあります。 でも、あんな奥さんがいたら、鷲津武時が道をあやまるのも無理からぬこと・・と、 思わず納得(^^)。

また、吉衛門さん演じる、鷲津武時役も、武芸一筋で実直に主君に仕えていたのが、 男の夢と妻への愛ゆえに罪を重ねることになりながらも、己の選んだ道を信じ、必死に 不安と戦っていく男として描かれており、ある意味、魅力的に見える男性像になって いました。

「マクベス」はむかーし、原作のお子様バージョンを読んだくらいしか記憶にないのですが、 そのときのイメージとはだいぶ違っていて、奥の深さを再発見したという感じです。
ストーリーは登場人物の設定から、ラストに森が動くところまで、原作のマクベスと 同じなのですが、大きく違うのは、原作でいうところのマクダフ(結局マクベスを打ち破る 武将)の妻とマクベス夫人が姉妹であるという設定。
もう1つ大きく違うなぁと思ったのがラスト。原作では、ダンカン王の息子マルコム王子が 王位回復するのですが、この舞台では、蜘蛛巣城の天守を目前に、マルコム王子にあたる都築国丸と 「あなたの子孫が蜘蛛巣城の城主になる」と予言されている三木義明の息子、義照とが、 「城主になるのは俺だ!」と殺し合い、2人とも命を落としてしまいます・・・。

この、都築国丸を演じた若い俳優さんがいい味出してるので、とても印象に残ったのですが、 あとでプログラムを見ると、京都の大蔵流狂言師の茂山宗彦さん。 この役は、実力も人望もないくせに、歌舞音曲に興じ、ただエバり散らす、坊ちゃん二世の 典型みたいな役で、とにかくイヤな奴なんですが、なんか笑ってしまう存在。こういう暗い どよーーんとしたお芝居には、こういう存在って大事だと感じました。 だって三木義照と殺しあう場面でさえ、槍で突かれて「痛いじゃないかーー!!」 ですもの。人のエゴとエゴがぶつかり合う醜い場面なのに、思わずくすっと笑ってしまえて ほっとしました。

・・それにしても、ラストシーンの壮絶さ、そして突然さには唖然としました。 私も含め、観客の皆さん、気持ちの持って行き場がない表情のまま、帰途についていたような。 宝塚の夢の世界のフィナーレに慣れている身にはつらかったです・・。

■ぷらすあるふぁ

後日、追加予定


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