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39番:歌舞伎
八月納涼歌舞伎(夜の部)「研辰の討たれ」
2001年8月29日 / 歌舞伎座 / 中村勘九郎、中村福助、坂東三津五郎、市川染五郎ほか |
■感想
「研辰の討たれ」の感想です。
野田秀樹演出の歌舞伎ということで、とても期待していったのだが、期待を超える面白さ!
スピード感あふれる芝居の進行の中、抱腹絶倒の連続の後に、ドキッとするようなオチがある。 回り舞台をうまく使った装置(堀尾幸男)や、効果的なスポットライト(勝柴次朗)なども
見応え十分だった。
お話は、研屋あがりの口の減らない侍、辰次(中村勘九郎)が、武道場でご家老(三津五郎) にいじめられた仕返しに、夜道にからくりを作ってびっくりさせてやろうとするのだが、
やりすぎて家老が「脳卒中で」死んでしまう。家老の息子、九市郎・才次郎(染五郎・勘太郎) がきっと敵討ちに来るに違いないと逃げ出すのだが、とある四国の宿で3人が出会ってしまい、
さて・・・というもの。
この劇で一番恐ろしいのは、辰次でも、九市郎・才次郎兄弟でもなく、「敵討ち」を取り巻く 大衆なんだと思う。
彼らにとって「敵討ち」は退屈しのぎ。敵討ちを目指すものに味方するのもそのためだから、 敵を討つ側でなく討たれる側だと知れば手のひらを返したような態度だし、別のところで
敵討ちがありそうだと聞けば、そちらにすっ飛んでいく。 「群集心理」ってこういうものよね・・と、そして、自分もその一員になっていやしないかと
ちょっと空恐ろしい気分になる。
「仇討ちなんかしてちゃ、お家は再興するわけはない」「お軽・勘平もいい迷惑」「一番ばか なのは浅野内匠頭」と、忠臣蔵をおちょくる辰次。 (これには実は全く賛成・・!)
「死にたくはない・・」と願いながらも仇を討たれ、上からはらはらと落ちる紅葉の一葉が なんとも哀しい。 いわれてみれば、桜の花は潔く散ってしまうけど、紅葉の葉というのは、まるで「散りたくない」
といいながら1枚1枚と散っていくような気がするなあ。
かたや敵を討つ側の平井九市郎・才次郎兄弟。
「親の敵、見事に討ち果たして来い!」と、やんやの喝采で送り出されたのはいいものの、 それも実は大きなお世話。いつまでたっても当の辰次に出会えず、「敵そのものよりも、故郷へ
帰るに帰れず、空しく過ぎる歳月」が憎くなってしまう。 この歳月を終わらせるためだけに辰次を切り殺した彼らの今後に、果たして幸せは待っているの
かな?と心配になってしまう。
とはいえ、芝居は終始、笑いの連続。 私めのお気に入りはやっぱりご家老(三津五郎)の「武士は脳卒中では死なん!」と、奥方様(福助)の「あっぱれ!」。
また、野田さんの肉体派な演出が、歌舞伎の役者さんの運動能力と見事にマッチしたという感じで 体力全開、迫力満点の舞台だった。 その野田さん、プログラムを読むと「ディズニーランドは今は面白いけど、300年も経てば、
『近頃のスプラッシュマウンテンは、初代、三代目に比べると品格がない』などと嘆くものも 現れる」などと、かなり辛らつなことを書いておられる。
私は今回の歌舞伎への挑戦、面白かったですよ〜〜!!
千秋楽ということで、カーテンコールが2回もあり、客席もスタンディングオペレーション。 金色に日の丸のあっぱれ扇子をみんなで持って拍手していた一群、あれは福助さんのファンかしらん?
面白さゆえに100%集中できるお芝居って、ほんとに良い気分転換になるなぁ〜と再発見した 今日の舞台でした。
■ぷらすあるふぁ
このほかの演目に「勢獅子」もありました・・

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